豪当局、ウラン採掘計画を却下 地下生物への影響を考慮
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【8月3日 AFP】オーストラリアの環境保護当局は3日、地下に生息する小型の生物を脅威にさらす恐れがあるとして、カナダのウラン生産大手「カメコ(Cameco)」が申請していた、ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州エーリーリー(Yeelirrie)の豊富な埋蔵量を誇るウラン鉱床での採掘計画を許可しない判断を下した。
ウラン生産の分野で世界有数の企業であるカメコは、4年前に英豪系の鉱業大手BHPビリトン(BHP Billiton)から同鉱床を購入し、開発を計画していた。
ウエスタンオーストラリア州環境保護局(EPA)のトム・ハットン(Tom Hatton)局長は「エーリーリーのスタイゴフォーナ(地下の水中に生息する動物相)の生息環境はとりわけ恵まれており、73種類の生物が報告されている」と述べ、カメコは「熟慮された運用戦略」を提示したものの、「(開発計画の)影響の及ぶ地域にしか生息していない種が失われる可能性が高すぎる」とEPAは判断したと語った。
当局によると、スタイゴフォーナは、ギリシャ神話の「ステュクス(Styx、さんずの川)」にちなんだ名前で、目がなく、体に色を持たない。その大半は地下水内にのみ生息しており、ほとんどが甲殻類とされる。
エーリーリーはパース(Perth)の北東650キロほどにあり、オーストラリア国内の未開発のウラン鉱床としては最大級の規模を誇る。カメコは同鉱床のウラン埋蔵量を5770万キロと試算している。(c)AFP