【8月3日 AFP】チェコ政府は2日、第2次世界大戦（World War II）中に数百人のロマ人が死亡したナチス・ドイツ（Nazi）の強制収容所の跡地に建設された養豚場を買い上げる交渉をしていることを明らかにした。

　5月には、かねてからデリケートな問題を抱えるこの土地から養豚場を撤去するよう求めていた反人種差別の活動家らが、欧州連合（EU）に養豚場への助成金を停止するよう要求していた。

　2日に養豚場を訪問したダニエル・ヘルマン（Daniel Herman）文化相は「近いうちにこの問題を解決できそうな政府はチェコ以外にない」と報道陣に語った。だが、検討している買い取り額や契約を最終的に締結する時期については明らかにしなかった。

　この養豚場は、1970年代にチェコスロバキアの共産党政権によって南西部の村レティ（Lety）に建設され、1989年の政権崩壊後、国内外から批判を浴びてきた。

　この地に置かれていた強制収容所には、1940～1943年にかけて、ナチス・ドイツおよびチェコスロバキア内の協力者によってチェコスロバキアの1300人近いロマ人が収容され、子ども241人を含む327人が死亡した。また500人以上が、悪名高いポーランド南部のアウシュビッツ・ビルケナウ（Auschwitz-Birkenau）強制収容所へ送られたという。

　欧州の少数民族であるロマ人はユダヤ人と同様、ナチス・ドイツによってジェノサイド（民族大量虐殺）の対象とされた。(c)AFP