【8月1日 AFP】軍事政権が起草した新憲法草案の賛否を問う国民投票を7日に控えたタイで1日、著名な学生活動家の母親が、フェイスブック（Facebook）上に投稿された一言のコメントを理由に不敬罪で起訴された。人権活動団体は、軍事政権による反対派への弾圧だとして非難している。

　パトナリ・チャンキット（Patnaree Chankij）被告（40）は今年5月、王室を侮辱した容疑で逮捕された。タイでは不敬罪で有罪が認められれば、最長で禁錮15年が科される。

　チャンキット被告の弁護団によると、同被告は王室批判に当たるとされる私的なメッセージを受け取り、それに一言「ja（タイ語で『うん』の意）」と返信したために訴追されたという。

　人権活動団体はこの件について、王室に関するあいまいな言及でさえ犯罪だと拡大解釈する軍事政権の非道な事例だとみなしている。

　チャンキット被告はいったんは不起訴処分とされたものの、批判を受けた警察は、軍事当局側から圧力をかけられて送検していた。弁護士の一人はAFPに対し、「軍事裁判所はきょう（1日）、軍検察による起訴を受理した」と明かした。被告は公判に先立ち、保釈されたという。

　2014年5月のクーデターで、元軍司令官のプラユット・チャンオーチャー（Prayut Chan-O-Cha）氏が首相に就任して以来、不敬罪の適用と軍事法廷での裁判が急増しており、国連（UN）をはじめ国際社会から批判が集まっている。

　また、フェイスブック上の投稿を理由に、禁錮25～30年の刑に処された人々が記録的な数に上っており、中には死んだ国王の愛犬を風刺したコメントを投稿をしたとして逮捕された男性もいる。(c)AFP