アレッポ「人道回廊」の避難状況、政権と住民の主張に隔たり
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【7月31日 AFP】シリア政権とその支援国ロシアは30日、反体制派が支配するアレッポ(Aleppo)東部から、数十人の民間人や反体制派が「人道回廊」を通じて脱出したと発表した。ただ、現地の住民や反体制派は、政権側の発表を「うそ」だとして否定している。
ロシアは28日、反体制派が支配するアレッポ東部からの安全な避難を可能にするため、3か所に人道回廊を設けると表明していた。現地では推計25万人が政権勢力に包囲され、食料不足に直面している。
シリア国営テレビは、兵士らに監視されながら政権側が支配するアレッポのサラヘディン(Salaheddin)地区に歩いて行く複数の女性や子どもとする映像を放送した。
また、国営シリア・アラブ通信(SANA)は「テロリスト集団に包囲された民間人が避難できる形で指定された回廊を経由し、数十組の家族がけさ脱出した」と伝えた。アレッポ東部の「武装勢力」がサラヘディンで政府軍側に投降したとも報じたが、詳細は明らかにしなかった。
ただ、現場の住民やAFP記者は、避難の兆しは全くないと話しており、反体制派の支配地区から政権側が支配するサラヘディンまでの路上に、仮設の防壁が依然として設けられていると付け加えた。
在英NGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は、アレッポ東部から西部に逃れたのは20人前後で、その中に反体制派は一人もいなかったとしている。(c)AFP/Rim Haddad with Rana Moussaoui in Beirut