過激派掃討作戦で子ども数千人を拘束・虐待、国際人権団体報告書
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【7月29日 AFP】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は28日、イラクとシリアのイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」や、ナイジェリアのボコ・ハラム(Boko Haram)などに対する軍事掃討作戦中に子どもたち数千人が拘束され、その多くが虐待を受けているとする報告書を公表した。
米国を拠点とするHRWの報告書は、アフガニスタンやコンゴ、イラク、イスラエルとパレスチナ自治区、ナイジェリア、シリアでの子どもの拘束が増加している実態を浮き彫りにした。
HRWは「これらの国や地域の政府は、何の理由もなく数千人の子どもたちを拘束している。拘束期間は数か月から数年に及ぶこともあり、拷問や虐待の対象にもなっている」と指摘している。
報告書に掲載されたシリア非営利団体「Violations Documentation Center」のデータによると、内戦6年目のシリアでは、少なくとも1433人の子どもたちが拘束され、これまでに436人しか釈放されていないという。
報告書は国連(UN)のデータも引用し、ISの支配地域を奪還すべく治安部隊が攻勢を強めているイラクでは、少女58人を含む少なくとも314人の子どもたちがテロ関連の罪で訴追もしくは有罪判決を受けていると指摘した。
なかには、親族の男性が「テロ行為」と関連があるとの理由で女性や子どもたちが拘束され、激しい殴打やたばこの火の押し付け、電気ショックなどを通じて自供を迫られたケースもあるという。
他方でボコ・ハラムと戦うナイジェリア軍も、これまでに数千人の身柄を拘束しており、その大半は男性と少年で、中には9歳の少年もいたとしている。
また、アフガニスタンでは、拘束される子どもたちが成人よりも多く拷問を受けているとする国連のデータを引用。これについては、子どもの方が情報を引き出しやすいとの当局の考えが反映されている可能性があると指摘された。(c)AFP