【8月5日 AFP】ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2016)王者で、リオデジャネイロ五輪では金メダル獲得を狙うアンディ・マレー(Andy Murray、英国)が、作戦などが書かれたノートを試合に持ち込んでいることを明かした。自身2度目の優勝を果たしたウィンブルドンの試合中も、そのノートを読み返している場面がみられた。

 ミロス・ラオニッチ(Milos Raonic、カナダ)を破ったウィンブルドン通算2度目のタイトルは、英国人男子としては、1930年代のフレッド・ペリー(Fred Perry)氏以来の快挙だった。その優勝を手助けしたノートは、スポーツ専門の心理学者によるサポートを受けて作成されており、試合ごとのゲームプランや気持ちを高めるような言葉が記されているという。

 ノートの内容について、マレーは「自分で作ったんだ。常に同じ状態でプレーを続けるために、基本的なことだけど、試合中、書かれていることを自分に言い聞かせるようにしているんだ」と話し、「自分が良いプレーをできているときは、そこに書かれていることを実践できていると思う。チェンジエンドのときに、試合のために練った作戦を読み返しているんだ。すごく役に立っているよ」と語った。

「『緊張しているときは、しっかりフットワークを使うように心がける』とかそういった内容だね。緊張した場面では、一般的には脚が動かなくなるんだ。最高のテニスができているときは、そのノートの内容が何であれ、書かれていることができていると思う」

「あとは試合の戦術が書かれていたりもする。グランドスラム決勝のタイブレークのような緊張する場面では、誰でも簡単にやるべきことを見失ってしまうからね」

 体力と精神を回復させるためにデビスカップ(Davis Cup 2016)とロジャーズ・カップ(Rogers Cup 2016)を欠場し、ウィンブルドンで蓄積した疲労をしっかりリフレッシュさせてからブラジルに向かうなど、マレーは完璧主義者として知られており、このノートもそうした一面を表している。

 これまでさまざまな舞台で成功を収めてきたマレーだが、五輪での成功はいつまでも特別なものとして残り続けている。

 五輪初出場となった2008年の北京五輪では、台湾の盧彦勳(Yen-Hsun Lu、ルー・エンスン)に敗れたが、ロンドン五輪ではモハメド・ファラー(Mohammed Farah)ら英国代表選手の活躍に刺激を受け、直前のウィンブルドン決勝で敗れたロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)を破り、1908年以来、英国人男子初のシングルス種目金メダリストとなった。さらにマレーはシングルスだけではなく、ローラ・ロブソン(Laura Robson、イギリス)と組んだ混合ダブルスでも銀メダルを獲得した。

 5日に開幕するリオ五輪でマレーは、もう一度金メダルを母国に持ち帰ることを目標としている。

「もちろんメダルを狙っているよ。楽しみだね。五輪は本当に大好きなんだ。今大会でも活躍したいね」

(c)AFP/Steven GRIFFITHS