電力不足のパレスチナ・ガザ地区、太陽光発電に託す希望
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【7月29日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)のナヘド・アブ・アシさんの農場は、2008年以降3度のイスラエルとの大規模な戦闘のたびに爆撃の被害を受けた──そしてガザ地区の他の場所と同じく、毎日、ほんのわずかな電力供給しか受けていない。
発電機を使用する費用は高く、アシさんはガザ地区の他の住民たちと同じ方法に望みを託している──費用のためのローンさえ見つかれば、太陽光パネルを設置するのだ。
不安定な電力供給にうんざりしているガザ地区の住民の間では、太陽光パネルを設置する人々が増えている。ガザ地区では1年の大半の期間、太陽が照っているのだ。
屋根の上には灰色と黒色の太陽光パネルが目立つようになってきた。
太陽光発電を扱う商店や広告も増えている。ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)も、太陽光発電に目を向け始めている。
ガザ地区電力当局の太陽光エネルギー部門の代表、ライド・アブ・ハッジ(Raid Abu al-Hajj)氏は「電力危機を少しでも改善しようと、学校、病院、公共の施設に太陽光パネルが設置され、他のプロジェクトも始まっている」と語った。ガザ地区ではまもなく、住宅1万戸に太陽光パネルが設置されるかもしれない。
太陽光発電は決して安い方策ではない。農家のアシさんは、太陽光パネルに4500~5400ユーロ(約52万~63万円)を支払う見込みだが、長期的には利益になるはずだと話した。
人口190万人のガザ地区にはたった一つの発電所しかなく、しかもイスラエルとの2014年夏の戦闘で損傷を受けた。イスラエルとエジプトから電力を輸入しているが、それでも十分な量にはほど遠い。
電力需要は推定450メガワットだが、供給量はわずか250メガワット。このうち27%がイスラエルから、22%がガザ地区の発電所、6%がエジプトからの供給となっている。(c)AFP/Sakher Abou El Oun