【7月24日 AFP】米政府による大規模な情報収集活動を暴露し、米国ばかりか世界各地で、大規模な監視活動に対する怒りを巻き起こした米国家安全保障局(NSA)の元職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者──だが、彼を主人公に据えた初の伝記映画は、これまでほとんど上映されることはなかった。

 この映画を手掛けたオリバー・ストーン(Oliver Stone)監督(69)は21日、米サンディエゴ(San Diego)で開催中の「コミックコン・インターナショナル(Comic-Con International)」でのイベントに集まったファンを前に「率直に言うと、大手映画会社すべてに断られた。脚本は良かった。予算も十分だった。キャストも良かった。間違いなく……自主規制のせいだ」と指摘。

「背後でNSAのような敵が潜んでいるとは考えていない。だが、自主規制がこの業界における大きな問題であり、数多くの真実にふたをしているのは確かだ」、「『No』と言っているのは映画会社の社員というより、映画会社を経営する取締役会だ」と語った。

 米政界の既成勢力に対する痛烈な批判者として知られるストーン監督は、英国人ジャーナリスト、ルーク・ハーディング(Luke Harding)氏の著書「スノーデンファイル、地球上で最も追われている男の真実(The Snowden Files: The Inside Story Of The World's Most Wanted Man)」の映画化権を購入。また、スノーデン容疑者の弁護士であるアナトリー・クチェレナ(Anatoly Kucherena)氏が執筆した政治スリラー小説「The Time of the Octopus」も、脚本の下敷きにしたという。

 モスクワ(Moscow)を拠点に活動するクチェレナ弁護士は2014年、AFPに対してスノーデン容疑者の倫理的ジレンマに無関心ではいられなくなり、同作を執筆したと語っている。

 映画『スノーデン』は、アカデミー賞作品賞受賞映画『スポットライト 世紀のスクープ(Spotlight)』を手掛けた独立系の映画会社オープンロード(Open Road)・フィルムズが米国での配給に合意し、9月16日に公開されることになった。(c)AFP/Frankie TAGGART