【8月2日 AFP】五輪ときれいな形で別れたい。奇妙に聞こえるかもしれないが、これが五輪で18個の金メダルを含む合計22個のメダルを獲得してきたマイケル・フェルプス(Michael Phelps、米国)のリオデジャネイロ五輪に向けた目標だ。

 フェルプスは、絶頂期にあった2008年の北京五輪で驚異の金メダル8個を獲得。そして4年後のロンドン五輪で獲得した4つの金と2つの銀は、はたからみればキャリアの最後を飾るに十分ふさわしいものだった。

 しかし、フェルプスは心の奥底で自分ならもっとやれると知っていたのかもしれない。その「不完全燃焼」な気持ちが、彼に引退したままでいることを許さなかった。31歳で自身5度目の五輪に臨むフェルプスは、復帰の理由について、「そういった、『もしこうしていたら』という後悔を残したくなかったんだ」と語っている。

「ここまでの道のりは信じられないものだった。このスポーツとまた恋に落ちたいとずっと思っていたし、そして願っていた通り、復縁にこぎつけることができたんだからね」

 復帰後の道のりは平たんではなかった。酒気帯び運転で逮捕され、自分を見つめ直したつらい時期もあった。それでも、フェルプスはそこから力強く立ち直った。婚約者のニコール・ジョンソン(Nicole Johnson)さんとの間に息子のブーマー(Boomer)くんが誕生すると、疎遠だった父親とも再び交流するようになった。フェルプスは「ニコールと僕にとって、僕らの暮らす空間にとって、クールな出来事だった」と話している。

 コーチのボブ・ボウマン(Bob Bowman)氏との関係も相変わらず良好だ。フェルプスは彼の指示に従えば最後の五輪で有終の美を飾ることができると考えており、コーチの手腕に絶大な信頼を寄せている。

 リオ五輪でフェルプスは、100メートルと200メートルのバタフライ、そして200メートル個人メドレーの3種目に出場する。100メートルバタフライと200メートル個人メドレーで金メダルを獲得すれば、五輪4連覇を達成した選手として、また新たに歴史に名を残すことができる。過去に個人で4大会連続五輪金メダルを獲得した選手は、円盤投げのアル・オーター(Al Oerter、1956-68)と走り幅跳びのカール・ルイス(Carl Lewis、1984-96)しかいない。

 200メートルバタフライも、ロンドン五輪で敗れたチャド・レクロー(Chad Le Clos、南アフリカ)への雪辱の機会となるだけに、フェルプスにとっては待ちこがれたレースになるだろう。200メートルバタフライは、フェルプスが五輪(2000年のシドニー五輪)で初めて泳いだ思い出の種目でもある。