ミュンヘン乱射、ショッピングモールを襲ったパニック
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【7月23日 AFP】乾いた発砲音、パニックになった人々の悲鳴、鳴り響くサイレン━━22日(日本時間23日未明)にドイツ南部ミュンヘン(Munich)市街で武装した男が、乱射による殺りくを繰り広げた。
住民らがショッピングモール「オリンピア・ショッピングセンター(OEZ)」で買い物を楽しみ、マクドナルド(McDonald's)で食事をしていた時に恐怖は始まった。パニックになった買い物客が商業施設から逃げ出す中、武装した警官の対テロ要員がたちまち道を埋め尽くして実行犯を捜した。
当初、実行犯は3人いると思われていた。しかし、モールから約1キロ離れた地点で、自らの手で命を絶った襲撃犯の遺体が発見された。ドイツとイランの二重国籍を持つ18歳の男で、単独犯とみられている。この事件では9人が殺害され、容疑者と合わせて計10人が死亡、21人が重軽症を負った。
捜索中、警察はバイエルン(Bavaria)州の州都でありドイツ第3の都市であるミュンヘンの住民に外出しないよう呼び掛けた。同市の主要駅からは人々が避難し、バス、地下鉄、トラムは運行を中止した。
■発砲しながらマクドナルドから歩き去る
この凶悪事件の現場にいた人々は、恐ろしい体験を語った。ある女性はバイエルンの公共テレビに対し「私たちはちょうどマクドナルドに入ったとところでした…パニックが起きて、みんなが一斉に外へ走ったんです」。3発の銃声を聞いたという。「子どもたちは泣き、パニックになった人たちが出口に殺到しました」
ソーシャルメディアへ投稿された動画には、悲鳴を上げて逃げまどう人々の一群に発砲しながら、マクドナルドから歩き去る黒い服を着た男の姿が捉えられていた。
ショッピングモール内の店舗で働いているという男性は、銃撃犯を直に目にした時についてこう語った。「男を見ると2人の人間を撃っているところでした。私は壁をよじ登って逃げました。その時に遺体や負傷した人々が見えました」。この男性の同僚は、襲撃犯は軍用ブーツを履き、リュックサックを背負っていたと話している。
1970年代にオープンし、バイエルン州で最大とうたっている事件の現場となったショッピングモールは武装した警官隊に包囲され、その上空をヘリコプターが飛行した。
そう遠くない場所には、1972年夏季五輪が行われたスタジアム、オリンピアシュタディオン(Olympiastadion)がある。この時の選手村ではイスラエル人選手ら11人が、パレスチナの過激派組織「黒い九月(Black September)」に殺害される事件があった。
モールの近くには、親と一緒に学年末を祝う児童たちもいたが、乱射事件のニュースが入ると家族たちは徒歩や車で家路を急いだ。(c)AFP/Ralf Isermann with Yannick Pasquet in Berlin