【7月23日 AFP】米歌手シェール(Cher)さんが支援していることで話題になった権利運動がある。パキスタンで独りぼっちになっているゾウ、カーバン(Kaavan)の権利運動だ。しかし飼育環境を改善しようという運動の効果はまだ限られている。

 カーバンは32歳のオスのアジアゾウで、精神疾患を患っている。たとえだいぶ前から約束されていた新しいパートナーがやって来たとしても、今よりも良い飼育環境がなければ未来は暗い。

 首都イスラマバード(Islamabad)のイスラマバード動物園(Islamabad Zoo)でカーバンが鎖につながれていることが明らかになると、その飼育環境に対する怒りが世界中に広まり、嘆願書には20万人以上の署名が集まった。

 だが、園の職員らは、飼育環境の問題ではなく、2012年にパートナーに先立たれたカーバンには新しいパートナーこそ必要なのだとコメントし続けてきた。

 しかしパキスタン野生動物基金(Pakistan Wildlife Foundation)のサフワン・シャハブ・アフマド(Safwan Shahab Ahmad)氏によると、カーバンはしきりに頭を動かすなど苦悩を表す行動を取っており、「心の病気の一種」の兆候を示している。

 1990年代からカーバンの詳細な調査を行っているアフマド氏は、カーバンの世話をする専門的な訓練を受けた飼育員がいないと非難し、アジアゾウの自然生息地である森に環境が近い、より広大なスペースや囲いが必要だと語った。(c)AFP/Nasir JAFFRY