【7月21日 AFP】ウクライナの人権活動家、アナスタシヤ・メルニチェンコ(Anastasiya Melnychenko)さんは、女性が男を挑発するから襲われるのだとレイプの被害女性を非難する議論がまたもやインターネット上で飛び交っているのを目にし、自国ウクライナでのタブーを打ち破ろうと決意した。

 こうした非難に対抗すべくメルニチェンコさんはパソコンに向かい、ハッシュタグ「#IAmNotAfraidToSpeak(私は話すことを恐れない)」とともに、これまでの人生でさまざまな性暴力に苦しんできたと交流サイトのフェイスブック(Facebook)で打ち明けた。ウクライナ語とロシア語のハッシュタグも付けた。

 このメルニチェンコさんの勇敢な行動がきっかけとなり、今月になってウクライナとロシアの何百人もの女性たちが堰(せき)を切ったように、それまではもみ消されるか無視されていた性暴力に関する体験を共有し始めた。

「私はまだ女子生徒だった。家までつけてきた若い男に上着を強引に引っ張られ、スカートの中に手を突っ込まれた」(美術批評家の30歳女性)

「19歳の時だった。相手は私のボーイフレンドの友達。身長が2メートルもあって力も強かった。道路は無人で抵抗するのも怖くて彼にレイプされた」(2児の母の女性)

「まだそばかすの残る幼い少女の頃だった。住んでいた貧困地区では(性)暴力が日常茶飯事で、知ってる女の子はみんな(被害)経験があった」(レストラン批評家の女性)

 多くの女性たちにとって、それは抑圧されていた痛ましい記憶を解放する強力な手段だったのだ。

「私たちの社会では、犠牲者を責めることが普通なんです」とメルニチェンコさんはAFPに語る。「だから、女性たちは性暴力について沈黙してしまう。家族にも警察にもしゃべらない。自分が非難されることを恐れているんです」

 人口約4500万人のウクライナで、当局に昨年記録されたレイプおよびレイプ未遂事件はわずか約320件しかない。この数字は実態を表していないと人権活動家らは強調する。