【7月20日 AFP】英裁判所は19日、ドーピング違反が発覚したロシアのリリア・ショブホワ(Liliya Shobukhova)に対し、ロンドン・マラソン(London Marathon)の主催者に約40万ポンド(約5556万円)を返還するよう命じた。

 38歳のショブホワは、当初約3年とされながら後に7か月に短縮された出場停止期間が明けているが、ロンドン・マラソンからは永久追放になっており、優勝した2010年大会、準優勝した2011年大会で獲得した賞金を返還する義務があると判決が下された。

 2014年にロシア陸上競技連盟(ARAF)によって生体パスポートの異常が発見されたショブホワは、2009年から2011年にかけて3連覇を達成したシカゴ・マラソン(Chicago Marathon)の記録などが取り消されている。

 英裁判所の判決は19日に下りたが、ロンドン・マラソンの最高責任者を務めるニック・ビテル(Nick Bitel)氏は、「次のステップはロシアでこの判決の支持を取りつけることだ」とコメントし、賞金などの返還を実現するには、さらなる難題が待ち構えていることを明かした。

「長く困難なプロセスになるが、われわれは不正が利益を生んではならないという信念のもと、それを追い求めていく。取り戻した賞金は、ショブホワの不正によって本来受け取るべき利益が損なわれた選手に分配されることになる」

 ビテル氏はまた、近年のマラソン選手には国際陸上競技連盟(IAAF)だけでなく、ほかの機関からも厳しい監視やドーピング検査が求められているとしている。

「われわれはマラソンをドーピングからかけ離れた競技にする決意を固めている。不正は必ず見つかり、利益を生まないことを明確に示すため、われわれはできる限りのことすべてを継続していく」

「IAAFや各国の連盟による検査に加え、世界最大級の独自検査体制を構築してきた。150人の選手の生体パスポートを最低でも年6回チェックできる体制だ」

 IAAFのラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)前会長の息子であるパパ・マッサタ・ディアック(Papa Massata Diack)氏やIAAF幹部に恐喝され、45万ユーロ(約5233万円)でドーピング違反をもみ消したショブホワは、これによりロンドン五輪出場が可能になっていた。(c)AFP