【7月17日 AFP】保守的なイスラム教国のパキスタンで15日、セルフィー(自撮り)写真をソーシャルメディア上で公開して賛否両論を巻き起こし、有名人となっていた女性が、実の兄弟によって殺害された。警察当局は17日、逃走していた容疑者は逮捕され、犯行を自供したと発表した。

 殺害されたのはカンディール・バローチ(Qandeel Baloch、本名:ファウジア・アジーム、Fauzia Azeem)さんで、年齢は20歳代とみられている。バローチさんは、社会的なタブーを果敢に打破することで、同国の多くの若者たちから称賛されていた一方、保守派からは非難を浴びていた。

 警察当局によると、バローチさんはパンジャブ(Punjab)州ムルタン(Multan)近郊の村ムザファラバード(Muzzafarabad)で絞殺された。

 ムルタンの警察幹部はAFPの取材に対し、「カンディール・バローチさんは殺害された。彼女の兄弟によって絞殺された。名誉殺人とみられる」と語った。

 バローチさんは家族とともに、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」明けを祝う祭り「イード・アル・フィトル(Eid al-Fitr)」のため、ムザファラバードを訪れていた。

 警察はバローチさんの父親の訴状に基づきバローチさんの兄弟のワシーム容疑者に対する捜査を開始した。父親は訴状の中で、「息子は娘に芸能活動を止めて欲しいと思っていた」ため、ワシーム容疑者がバローチさんを名誉のために殺害したとしている。

 ムルタンの警察幹部はAFPの取材に対し、ワシーム容疑者は16日夜に逮捕され、バローチさんを「名誉」のために殺害したと自供していることを明らかにし、「ワシーム容疑者は、きょうだいが主にフェイスブック(Facebook)に最近いかがわしい動画を投稿したことで、名誉のために殺害したと供述しており、罪を認めている」と述べた。(c)AFP