子ガモの学習能力、物体の「違い」を認識か 研究
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【7月15日 AFP】カモのひなは、さまざまな形や色の2個の物体の違いを学習できるとする研究結果が14日、発表された。こうした能力を持つことがこれまで知られていたのは、類人猿、カラス、オウムだけだった。
米科学誌サイエンス(Science)に発表された研究論文によると、この能力は「刷り込み(インプリンティング)」に関連しているという。ふ化したてのひなが最初に目にする、母親である可能性が高い成鳥の後を追う現象も、この強力な学習プロセスの一例だ。刷り込みは、野生の鳥を保護した世話人に対してもみられることもある。
論文の主執筆者で、英オックスフォード大学(University of Oxford)動物学部のアレックス・カセルニック(Alex Kacelnik)氏によると、刷り込みは、原始的な現象に見えるかもしれないが、実際には、卵からふ化して、よちよち歩き回り始める直後に発達させる、複雑な能力なのだという。
カセルニック氏は、「ひなに必要なのは、自身の母親を認識することだ。そのため、ひなは、いや応なしに学習に関与することになる。なぜなら雌のカモは、どれも似通っている可能性があるからだ」と説明する。また「母鳥は、いろいろと向きを変えたり、近づいたり遠ざかったり、羽ばたきをしたりする可能性があるため、これは恐ろしく複雑なことだ。それでもなお、ひなは母親の総括的な概念を形成しなければならない」と続けた。
そこでカセルニック氏の研究チームは、これがどれほど精緻な能力であるかを調べるために、「同じ」と「異なる」という概念を明示する2個一組の物体をカモのひなに見せて後追いをさせる実験を行った。
実験では、卵からふ化した直後のカモのひなに、同じ物体、もしくは異なる物体をそれぞれ2個一組で見せた。物体が円軌道を描いて移動すると、ひなはその後を追えるようになっており、見せた対象物への刷り込みをみることができる仕組みだ。物体の組み合わせは、同様の形の組の他、ピラミッド形と立方体などの異なる形の組となる場合もあった。