印国営石炭会社、先住民の権利侵害が常態化 アムネスティ報告書
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【7月14日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は13日、インドの国営石炭会社が、増大する国内の電力需要を満たすための新炭鉱開発を急ぐあまり、地域住民の権利を侵害する行為を常態的に行っているとする報告書を発表した。
アムネスティの報告書によると、世界最大の石炭採掘会社のコール・インディア(Coal India)は、インド中部と東部にある炭鉱の近隣に暮らす地元先住民と、土地の買収や環境への影響に関して話し合う機会を設けてこなかったという。
報告書が明らかにしたところによると、中には、炭鉱開発のために自分たちの土地が買収されることを直前まで知らされなかった住民もいるという。
アムネスティのアーカル・パテル(Aakar Patel)インド支部長は「会社も、中央および州政府もどちらも、弱い立場にあるアディバシ(Adivasi)先住民と対話する気もないようだ。炭鉱開発のために、先住民が所有する土地が奪われ、森林が破壊されている」と話す。
2011年に発表された最新の国勢調査によると、インドの先住民は、同国の人口12億人の8%あまりを構成しているという。多くの先住民は読み書きができず、極度の貧困の中で暮らしており、食物を得るためにその土地に依存している。
報告書によると、中央政府は土地の買収に際して、調査団が調べた3か所のコール・インディアの炭鉱すべてで、影響を受ける世帯への直接の通知や、移住に関する事前の相談なども一切行わなかったという。
アムネスティの聞き取り調査に応じた住民の一人は、土地が買収されることを初めて知ったのは、すでに契約が結ばれた後だったと話した。
コール・インディアの職員の一人は、報告書の内容を否定した上で、州政府を含む各種機関によって保護されていることが多いこれらの先住民のために導入されている規則を、あからさまにないがしろにすることは「不可能に近い」と述べた。
匿名を条件に取材に応じたこの職員は、AFPに対し「わが社がプロジェクトのために、住民を強制的に立ち退かせることは不可能だ。そうした侵害行為をチェックするために導入されている法律、規則、法令などが余るほどあるのだから」と語った。