習国家主席の名を冠した新種昆虫、検閲で黙殺 中国
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【7月12日 AFP】中国で国家主席への敬意を込めて、自分が発見した新種の昆虫に習近平(Xi Jinping)氏にちなむ名前を付けた科学者が、検閲の介入によって名前の使用を禁じられ困惑している。
東欧チェコの首都プラハ(Prague)にあるチェコ生命科学大学 (Czech University of Life Sciences) に所属する中国人研究者、王成斌(Cheng-Bin Wang)氏は、中国南部の海南(Hainan)島で発見した新種の昆虫を「Rhyzodiastes (Temoana) xii」(習氏狼條脊甲)と命名した。
王氏は生物分類学の国際学術誌「Zootaxa」で新種を発表した際「この特別な添え名(xii)は、その指導力で私たちの祖国をいっそう強大にして下さっている中国人民共和国国家主席、習近平博士にささげたものだ」と述べていた。
一方、先月発表された全8ページの論文には、この新種の昆虫の詳細が説明されており、それには胴体に「輝かしい」つやがあり、「生殖節にある突起は適度な長さで、先端は細く丸くなっている」などと書かれていた。
AFPのメール取材に応じた王氏は、中国での習主席の活躍に敬服しており、新種の昆虫を習主席の功績の象徴に見立てたと語った。
「習氏狼條脊甲は非常に希少だ。屋外採集を10回行っても一匹も遭遇しないだろう。それに腐った木を餌とする──これは習近平氏を象徴している。1世紀に1度しか遭遇しない希少な人物であり、特に腐敗に対する規制によって、中国の腐敗は徐々に消えている」
しかし、米国を拠点に中国のメディアやインターネットを監視するウェブサイト「チャイナ・デジタル・タイムズ(China Digital Times)」によると、中国当局の検閲官は国内のインターネット上にあるこの昆虫に関する情報の削除を命じた。
発見者の王氏は検閲に動揺し「親愛なる習主席よ!これは希少な昆虫で、名前は永久に残ります。素晴らしい栄誉です」と述べたものの、ネット上で「中傷」を受け、新種の発見について、この昆虫は「文化を持たない」人々によって繁殖される「単なる」臭い虫だと嘲笑されたという。(c)AFP