【7月11日 AFP】フィリピンのホセ・カリダ(Jose Calida)検事総長は11日、麻薬犯罪への関与が疑われる容疑者らをさらに殺害するよう警察に要請した。犯罪に対し容赦ない姿勢を打ち出して徐々に批判が強まっているロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領を擁護した格好だ。

 何千人もの犯罪者を殺害すると公言し、徹底した治安対策を公約したドゥテルテ氏が5月の大統領選で勝利して以来、警察はすでに容疑者110人以上を殺害したと認めている。

 また、公式発表される死者数が増加するとともに、警察による殺害と確認されていないにもかかわらず、麻薬密売人と書かれた札を提げた遺体が複数発見されていることをめぐり、人権問題を専門とする弁護士や一部の議員らは、犯罪との闘いが制御不能に陥りつつあるとして強い懸念を表明している。

 こういった批判を受けてカリダ検事総長は11日、国家警察本部で記者会見を行い、警察による殺害の合法性を強調するとともに、麻薬密売に関与した疑いのある容疑者らをさらに殺害するよう奨励した。

 カリダ氏は警察による殺害について、「私はまだ不十分だと考えている」と述べ、「フィリピンには麻薬の中毒者や密売人が何人いるだろうか? わが国のほとんどの村に(麻薬が)まん延している」と指摘した。

 先月30日に就任したドゥテルテ大統領は、フィリピンが麻薬大国になってしまうのを防ぐためには抜本的な対応が必要だと繰り返し訴えている。(c)AFP