昼が140年、「太陽」3個ある特異な惑星を発見
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【7月8日 AFP】国際天文学者チームは7日、「太陽」が一つではなく三つある遠方の恒星系に存在する奇妙な惑星を発見したと発表した。
米科学誌サイエンス(Science)に掲載された研究論文によると、この太陽系外惑星は、長編映画『スターウォーズ(Star Wars)』に登場するルーク・スカイウォーカー(Luke Skywalker)の故郷で、2個の恒星を公転する惑星「タトゥイーン(Tatooine)」よりさらに特異な存在と思われるという。
専門家らによると、恒星が2個ある連星系は、宇宙では比較的よく見られる可能性があるが、恒星を3個以上伴う連星系は珍しいという。
天文学チームを率いた米アリゾナ大学(University of Arizona)が発表した声明は「このような惑星を想像してみてほしい。そこでは季節によって、一日中太陽が沈まない時期と、太陽3個の日の出と日没を楽しめる時期とがある。その季節は、人間の寿命より長い間続くのだ」と述べている。
「HD131399Ab」と命名されたこの惑星は、地球からの距離が約340光年で、ケンタウルス座の中に位置している。
形成されたのが約1600万年前と、比較的若い天体と考えられており、これまで太陽系外で発見された中で最も若い惑星の一つとされる。
HD131399Abの質量は、太陽系最大の惑星であるガス状巨大惑星の木星の4倍と考えられている。
3個のうちで最も明るい恒星の周りを、非常に長くて幅広い軌道を描いて公転している。
HD131399Abの発見者で、論文の第一執筆者のアリゾナ大博士課程1年、ケビン・ワグナー(Kevin Wagner)氏は「公転周期の1年が地球年で550年に相当するこの惑星では、その軌道の約半分の間、空に3つの星が見える。明るさが弱い方の2つの星が常に互いに接近しており、最も明るい星との見かけの間隔を、年間を通して変化させる」と話す。
「惑星の1年の大半で、これら2つの星は非常に接近して見えるため、惑星では毎日、太陽3個による日の出と日没があり、地球で見慣れた夜側と昼側ができる」とワグナー氏は続ける。
「惑星が軌道を進み、星と星との見かけの間隔が日ごとに離れていくと、一つの星が沈む時刻と、他の星が昇る時刻が重なる時点に到達する」
その結果「軌道全体の約4分の1、地球年で140年近くにわたり、ほぼ一日中昼間」になる。
天文学チームは、南米チリにある欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)に設置された「分光偏光高コントラスト太陽系外惑星探査(SPHERE)」の観測装置を用いて、HD131399Abを発見した。(c)AFP