コロンビア麻薬王の遺産──野生化したカバ アフリカ以外で最大の群れ
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【7月27日 AFP】20年以上前に警察との銃撃戦で死亡した南米コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバル(Pablo Escobar)。その一風変わった遺産がいまだに生き残っている──野生化したペットのカバだ。
コロンビア・アンティオキア(Antioquia) 州ドラダル(Doradal)村で真夜中に窓から外を見ると、通りをゆったりと歩くカバを見かけることがある。警察はエスコバルの手下を殺害・拘束したが、私設動物園のカバに手を出さなかった。
そんなカバたちはナポレス・エステート(Napoles Estate)に放置され、アフリカ以外で最大の野生カバの群れと呼ばれるまでに繁殖した。地元にとっては珍しくもあり、危険な存在でもある。
地元環境団体の生物学者によると、エスコバルは1980年代前半に米カリフォルニア(California)州の動物園から4頭のカバを購入し、自身が所有する大牧場に放った。それが今では35頭前後にまで増えているという。
カバの寿命は最大60年にもなる。このため当局は長期的に群れを管理する方法を模索している。カバを去勢し、繁殖を抑えるという費用のかかる厄介な試みはあまり進んでおらず、4頭を去勢するにとどまっている。カバの睾丸は体内に隠されているので、性別を見分けるのは難しいからだ。
これまでのところ、コロンビア警察はカバとの全面戦争を選択せず、その封じ込めに努めている。岩、木、ワイヤなどで障壁をつくってカバの遠出を防ぎ、飼い葉を育てることで、カバが自分たちの居場所で幸せに暮らせるよう計らっている。(c)AFP/Florence PANOUSSIAN