南極上空のオゾン層に「回復」の兆し、研究
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【7月1日 AFP】南極上空のオゾン層に開いた穴(オゾンホール)が縮小し始めているとの調査結果が6月30日、発表された。特定の汚染物質の使用を段階的に廃止する国際協定の採択から数十年後の良い知らせとなった。
オゾンホールの面積は2000年以降、400万平方キロ縮小していることが、今回の調査で分かった。これは、インドの国土面積にほぼ匹敵する。
米科学誌サイエンス(Science)に掲載された調査結果をまとめた論文の主執筆者で、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の大気化学者、スーザン・ソロモン(Susan Solomon)氏は、同誌のインタービューに「これは大きな驚きだ。これほど早く(結果に表れる)とは思ってもいなかった」と語っている。
研究では、オゾン層回復の要因が「クロロフルオロカーボン(CFC)類に由来する大気中の塩素が減少を続けていること」にあるとされている。CFC類はかつて、ドライクリーニング、冷蔵庫、ヘアスプレーなどの噴霧器から放出されていた化学物質だ。
1987年、世界の大半の国々が、CFC類の使用を規制する「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」に署名した。
ソロモン氏は、「われわれがこれまでにしてきたことが、地球を回復への道に進ませていると、これで確信を持つことができる」とコメントしている。
■火山活動
オゾンホールは、1950年代に最初に発見された。
オゾンホールは、2015年10月に記録的な大きさにまで拡大したが、これは同年に起きたチリのカルブコ(Calbuco)火山の噴火に起因するものだと、ソロモン氏と研究チームは断定している。
研究チームは、人工衛星、地上観測施設、気象観測気球などで収集された測定データを詳細に調べることで、オゾン層回復に向かう全体的な傾向を明らかにした。
論文の共同執筆者で、英リーズ大学(University of Leeds)の観測大気科学の専門家のライアン・ニーリー(Ryan Neely)氏は「観測データとコンピューターモデルは一致している。南極のオゾン層の回復は、すでに始まっている」と話した。(c)AFP