【6月29日 AFP】テニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2016)は28日、男子シングルス1回戦が行われ、大会第15シードのニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)は、ラデク・ステパネク(Radek Stepanek、チェコ)との初戦を6-4、6-3、6-7、6-1で勝利したものの、またしても悪癖を露呈した。

 前回大会で審判に文句を言って罰金を科されたり、無気力なプレーを見せたりしたのをはじめ、キャリアを通じて周囲を不快にさせる行動を続けてきたキリオスは、ツアーでも一番不安定な選手の烙印(らくいん)を押されている。

 そのため、コートに姿を現したキリオスには数多くの好奇の視線が注がれていたが、1年ぶりとなるオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)でも、感情を制御できない悪癖は治っていなかった。

 第1セットでは、やり直しを命じられたことに腹を立てて「不適切な言葉」を叫び、早速らしさを発揮すると、マッチポイントを逃して第3セットを落としたところで感情が爆発。自身のチームに対して、周囲にも聞こえる声で試合を見るのをやめろと発言し、主審から注意を受けた。

「本気だ。行け。出ていけ」とまくし立てたキリオスは、言葉に注意しなさいと審判から警告を受けると、第4セットには不満の矛先をその審判に向け、「この椅子に座って、さっきの単語を使った選手はみんな規定違反にされてきたとでもいうのか」と食ってかかった。これらの行為により、キリオスには再び罰金が科される可能性がある。

 ただし、テニスの面では上質なプレーを見せ、ウイナーを次々に決め、意表を突く股抜きショットも披露するなど、ほぼ快勝といえる内容でステパネクから勝利を収めた。ちなみに対戦相手のステパネクも気が短い選手として知られており、だからこそ親近感が湧いたのか、今年はキリオスの補佐役を買って出ていたというが、この試合を見る限り、先輩の助言はまだキリオスの胸に染み込むまでには至っていないようだ。

 それでもキリオスは、試合後の会見で「観客は僕の試合が好きなのさ。面白いからね。ここは居心地が良く、観客は僕のテニスを知っている」とコメントし、観客は存分に楽しんだはずだとうそぶいた。

 その一方で、審判からの扱いに不満はないかという問いに対しては、「その質問には答えない」と回答を拒否。審判との関係については、「良かったよ。まあ、良くはなかったけれど…注意されたのは、この部屋で誰もが使っているような単語だよ」と言葉を濁した。

 8強入りを果たした2014年大会での快進撃の再現を狙うキリオスは、2回戦で主催者推薦出場のダスティン・ブラウン(Dustin Brown、ドイツ)と対戦する。(c)AFP/Steven GRIFFITHS