【6月28日 AFP】「最後の切り札」となるはずの抗生物質に対し、高い耐性を持つスーパー耐性菌への2人目の感染者が米国内で確認された。研究者らが27日、発表した。

 専門誌「抗菌薬と化学療法(Antimicrobial Agents and Chemotherapy)」に掲載された論文によると、抗生物質への耐性を引き起こす特異な遺伝子「MCR-1」が、米ニューヨーク(New York)の患者の大腸菌株から発見されたという。

 米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)のランス・プライス(Lance Price)教授は「われわれは抗生物質による治療が効かない腸内細菌の出現を目にしようとしている」と述べた。

 MCR-1遺伝子を含む大腸菌感染が米国内で初めて確認されたのは今年5月で、尿路感染症で入院したペンシルベニア(Pennsylvania)州の女性患者(49)だったが、現在回復中だという。

 MCR-1遺伝子は、こうした感染症治療における最終選択薬とされている抗生物質「コリスチン」に対する耐性を細菌に獲得させるため、特に恐れられている。

 米疾病対策センター(CDC)は先月、国内でスーパー耐性菌に迅速に対応するための医療機関ネットワークを構築する計画を発表した。同ネットワークは今秋、始動する見込み。(c)AFP