【6月25日 AFP】英国で行われた国民投票で、欧州連合(EU)からの離脱派が残留派を上回ったことを受け、サッカー欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)に臨む他国の選手たちは24日、ショックを受けた様子を見せた。

 決勝トーナメント1回戦を控えて16チームが準備を整える中、フランス国内で結果が伝わると、イタリアやドイツの選手は英国の判断に対して悲しみを口にした。

 それにもかかわらず、イングランド代表のハリー・ケイン(Harry Kane)は、チームメートたちが結果を「重視」していないと明かした。

 パリ(Paris)近郊の合宿所で会見に臨んだケインは、「もちろん、目覚めた後ニュースを見た。何人かはその話をしていた。ただ、正直なところみんなは、重視しすぎてはいないと思う。この大会が重要なことであって、しっかり戦って勝ち上がることを目指している。みんなそれについてコメントするほど詳しくないと思う。僕らは何が起こるか見守るだけだ」とコメントした。

 一方でイタリア代表のジョルジョ・キエッリーニ(Giorgio Chiellini)は、結果が欧州中に伝染するのではないかという懸念をあらわにし、チーム全体が「ショック」を受けたと明かした。

「全員が少しショックを受けている。残留派が勝つだろうと思ってベッドに入ったからね。残念ながらそうはならなかったけれど。大きな心配事は、何よりも連鎖反応が起きる可能性だ。他の国の国民投票を促すだろう。追随するかもしれない」

 キエッリーニは、イタリアでの国民投票で同様の結果が出るのではないかと恐れている。

「一般的に、人々が現況に満足していなければ、変化のために投票する。冗談抜きで、イタリアがEUを離脱するという決断後に生き残れるか確信が持てない」

 英国民投票の最終結果は、EU離脱支持が52%、残留支持が48%となった。この結果で市場は混乱し、残留を支持していた英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は辞意を表明した。

 英国の一地域で、投票結果の影響を直接受ける北アイルランドのマイケル・オニール(Michael O'Neill)監督は、投票をしそこねた自分を戒めた。

 指揮官は「私個人としては、郵便投票の機会を逃したミスを犯してしまった。自分自身に失望している」とコメント。しかし、チームのメンバーは、決勝トーナメント1回戦で対戦する、こちらも同じく英国の一地域であるウェールズとの対戦に意識が向かっており、北アイルランドの不確かな今後に気をもんではいないと明かした。

「現時点で選手たちは(国民投票の結果を)気にしすぎてはいないようだ。試合と自分たちのサッカーに集中している」

 一方、ドイツの守護神マヌエル・ノイアー(Manuel Neuer)は、結果を悲しんでいると語った。

「僕はEUが団結していることが普通という状況の中で育った。政治的なことは言えないけれど、もう英国やイングランドが団結の心を持っていないということは、悲しいことだと思う」

(c)AFP/Guy Jackson