【6月27日 AFP】サッカーとギャンブルが好きなベトナム人にとって、フランスで開催中のサッカー欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)は両方を堪能できる絶好の機会だ。過去にサッカー賭博で破産し、家まで失った苦い経験があるような人も、また懲りずに賭けに走っている。

 違法であるにもかかわらずギャンブルが盛んなベトナムでは、サッカーの世界的な大会が開催される時期になるといつも、賭博で大勝した、大負けした、破産して自殺したというニュースが増える。

 グエン・テ・ホアン(Nguyen The Hoang)さん(58)は首都ハノイ(Hanoi)の小さなカフェで、前回2012年のサッカー欧州選手権で賭けにのめり込み、大金を失った過去を振り返った。

「賭けで50万ドル(約5100万円)近く損」し、家を2軒と経営していたレストランを1軒失ったと語った。「妻は、私たちの人生を崩壊させたサッカーを嫌悪している」。夫婦には2人の子どもがいる。 

 一家は現在、フォーの屋台で生計を立てている。妻が調理し、グエンさんは皿洗い。1日の収入はわずか10ドルだ。

 だが無一文になった今でも彼のギャンブル熱は冷めておらず、欧州選手権2016にもカネをつぎ込んでいる。

 ベトナムでどれだけの人がサッカー賭博をしているのか、正確な数字は分からない。政府の統計もなく、学術的な研究もほとんど行われていないからだ。

 だが、国営メディアが今月初めに違法賭博を取り締まる警察の捜査について報じたことにより、その実態が少し明らかになった。捜査当局によれば、過去1年にわたり、3億4000万ドル(約347億円)相当の賭け金を集めたギャング集団の23人を逮捕したという。