【6月23日 AFP】米国務省の高官は22日、中国が南シナ海(South China Sea)などの係争水域で支配権を強化するため、武装した警備艇に護衛された漁船団を送り込む手段を活用していると述べ、「不穏な」行動だとして懸念を示した。

 南シナ海のナトゥナ諸島(Natuna Islands)沖では先週、インドネシア艦船が警告射撃を行った後に中国漁船を拿捕(だほ)し、乗組員7人の身柄を拘束。中国側が抗議していた。

 国務省高官は東南アジア諸国の記者らとの電話会見に応じ、「中国漁船に(中国の)沿岸警備艇が同伴しているのは不穏な傾向だと思う。そうした方法で、必ずしも正当とは言えない(領有権の)主張を押し通そうという狙いにみえる」と語った。

 匿名のこの高官は、こうした行動は係争水域での「中国の軍事的・準軍事的なプレゼンス拡大」を意味するものにほかならず、挑発的で一帯の不安定化を招く恐れもあると警鐘を鳴らした。

 インドネシアは一部周辺国と異なり、南シナ海で中国との間で領有権を争う小島や岩礁はない。しかし中国が漁業権を主張するナトゥナ諸島沖の水域は、インドネシアの排他的経済水域(EEZ)と重なっているとみられる。(c)AFP