【6月22日 AFP】石油や天然ガスの採掘方法「フラッキング(水圧破砕法)」に使用される混合液に、水の代わりに二酸化炭素(CO2)を使用することで、採掘量を増加させると同時に、地球温暖化防止の一助となる可能性があるとの研究結果が21日、発表された。

 フラッキングでは、水、化学物質、砂などの混合液を高圧で注入し、頁岩(シェール)層の内部に閉じ込められた化石燃料を採取する。

 混合液の高圧注入によって頁岩に小さな割れ目が生じるため、そこから石油や天然ガスが押し出される。混合液の砂は、割れ目を埋める役割を果たす。

 だが、科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された研究論文の主執筆者で、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のフランス人科学者のブノワ・コーズン(Benoit Coasne)氏によると、この技術には限界があるという。

 水の使用をめぐっては、最初こそ効果的に作用するが、徐々にその有効性は低下し「生産性の急速な減少」が起きるとコーズン氏はAFPの取材に語った。微視的なレベルでは、「エネルギー障壁」が形成され、最終的に抽出可能なメタン分子の数が制限されるというのだ。

 コーズン氏と研究チームは、コンピューター・シミュレーションと統計モデルを使用してより効率的な方法を探った。

 その結果、液体と気体の境の状態にまで加熱されたCO2を水の代わりに用いることで、生産性低下の問題が解消され、フラッキング坑井の運用寿命が延びると試算された。

「今回の研究は、代替案が可能であることを証明している」とコーズン氏は述べる。

 他方で、大きな副次的恩恵がもたらされる可能性もある。CO2は、頁岩の微細孔内でメタンと自然に置き換えられるため、CO2の地中貯蔵への期待も高まる。地球温暖化では、CO2が最大の要因とされている。

 コーズン氏は、理論から実践への移行は「大きな一歩」であることを認めながら、実現可能性を判断するにはさらなる研究が必要との見解を示した。また、政治家や一般の人々に、判断材料となる科学的事実を提示することが重要であるとも付け加えている。(c)AFP/Marlowe HOOD