陸上1500m女王ディババのコーチ、禁止薬物摘発捜査で逮捕
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【6月21日 AFP】陸上中長距離の女子1500メートル世界記録保持者で、リオデジャネイロ五輪では金メダル最有力候補のゲンゼベ・ディババ(Genzebe Dibaba、エチオピア)をはじめ、多くの有力選手を指導するソマリア人コーチが20日、違法薬物の不正取引に関与した容疑で、スペイン警察に逮捕された。
捜査当局の情報筋によると、ジャマ・アデン(Jama Aden)容疑者は、指導する選手が大勢滞在しているスペイン・カタルーニャ(Catalonia)州のホテルで同日未明に逮捕された。また、一緒に逮捕された理学療法士とともに、選手に禁止薬物を投与した容疑もかけられている。
一部の選手にドーピング検査を実施するため、スペインの反ドーピング機関(AEPSAD)と協力して医師や職員を派遣していた国際陸上競技連盟(IAAF)は声明を発表し、今回の逮捕は長年の捜査が実ったものだと強調している。
「国際刑事警察機構(インターポール、Interpol、ICPO)をはじめ、AEPSAD、警察などの捜査機関を含めたスペイン当局と密接に協力しながら、IAAFが2013年に開始した長期にわたる調査の結果、ジャマ・アデン氏を本日逮捕するに至った」
「クリーンなアスリートとスポーツの高潔性を守るため、IAAFはすべての人材と権力を投入していく。これはアスリートを不当に扱い、禁止薬物の使用を助長しようとする個人やコーチの特定と捜査を含むものである」
■ディババのほかにも有力選手を指導
アデン容疑者はディババのほかにも、2008年北京五輪の男子800メートルで銀メダルを獲得したイスマイル・アハメド・イスマイル(Ismael Ahmed Ismael、スーダン)や2012年のロンドン五輪男子1500メートル金メダリストのタウフィク・マフロフィ(Taoufik Makhloufi、アルジェリア)ら、世界大会でメダルを獲得する中距離ランナーを何人も輩出している。
そのほかには世界室内選手権(IAAF World Indoor Championships)男子800メートルで2度の金メダルに輝いたアブバケール・カキ・カーミス(Abubaker Kaki Khamis、スーダン)、2014年の世界室内選手権で男子1500メートルの金メダルを獲得したアヤンレ・スレイマン(Ayanleh Souleiman、ジブチ)らがいる。
アデル容疑者は指導者として輝かしい実績を残してきたが、2012年の世界ジュニア陸上競技選手権(IAAF World Junior Championships)で男子1500メートルを制した教え子のハムザ・ドリウチ(Hamza Driouch、カタール)が生体パスポートに関する不正行為で2年間の出場停止処分を科され、疑惑の目が向けられていた。ドリウチは当初、アデン容疑者にドーピングを勧められたと主張していたが、後日その陳述を撤回している。
中長距離界の女王ティルネシュ・ディババ(Tirunesh Dibaba)を姉に持つディババは、つま先の故障に悩まされており、ダイヤモンドリーグ(IAAF Diamond League 2016)でも欠場が続くなど、リオ五輪に向けた調整に影響が出ている。(c)AFP