【6月20日 AFP】フランス北部沿岸のスラム街に滞在を余儀なくされている移民の子どもたちが、性的な虐待・搾取など「恒久的な危険」にさらされていると警告する報告書を国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)が先週発表し、未成年者の保護エリアを設置する必要性を訴えた。

 16日に発表されたUNICEFの報告書は、両親のいない移民の子どもたち約500人が滞留している仏カレー(Calais)からノルマンディー(Normandy)にかけての7か所で、今年1~4月に実施した調査に基づいてまとめられた。

 報告書によれば「子どもたちはレイプを恐れて、日没後の外出を怖がっており」、「生活状況…路上で受ける暴力、越境する際のリスク、スラム街での金銭にまつわる人間関係、結果として起こる奴隷状態などによって恒久的な危険にさらされている」という。

 中でも「バチャ・バジ(bacha bazi)」と呼ばれる慣習によって、成人男性が男の子を「性の道具」とすることが正当化されているアフガニスタン出身の少年たちが、レイプの危険にさらされている点を強調している。

 また少女たちは性的虐待を受けるリスクの他、難民キャンプに入るためや英仏海峡(Channel)を渡るための金銭を得るために売春に勧誘されるリスクにもさらされている。

 報告書は「こうした子どもたちが置かれている状況は、『子どもの権利条約(UN Convention on the Rights of the Child)』に違反する証拠が相次いでみられる」と述べ、未成年者のための施設の欠如や、政府とボランティア関係者の調整不足を指摘し、スラム街の中に「特に保護者のいない子どもたちにとって安全な」保護エリアを設置すべきだと勧告している。(c)AFP