「ニモ」や「ドリー」に迫るシアン化物、熱帯魚の毒物漁法
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【6月17日 AFP】映画『ファインディング・ニモ(Finding Nemo)』で主人公のニモ(Nemo)として登場するカクレクマノミなどの熱帯魚は、ペットとして高い人気を誇るが、その多くは有毒物質のシアン化物を使って捕獲されているとの調査報告書が16日、発表された。これらの魚が自然界で生息場所としているサンゴもまた、この毒物の脅威にさらされていると報告書は警鐘を鳴らしている。
『ファインディング・ニモ』の続編としてピクサー(Pixar)が製作し、近く封切られる予定となっているアニメ映画『ファインディング・ドリー(原題、Finding Dory)』では、物忘れの激しいナンヨウハギが主人公として描かれている。報告書は、この映画がきっかけとなって観賞用熱帯魚の需要が高まり、捕獲のために用いられる毒物漁法の実践に拍車がかかる恐れがあるのではと危機感を募らせている。
米バージニア(Virginia)州にあるハエレティクス環境研究所(Haereticus Environmental Laboratory)のクレイグ・ダウンズ(Craig Downs)氏によると、『ファインディング・ニモ』公開時には、熱帯サンゴ礁からカクレクマノミが100万匹以上捕獲されたという。同研究所は、環境保護団体「フォー・ザ・フィッシィーズ(For the Fishes)」と共同で今回の報告書をまとめた。
敏しょうに泳ぎ回る魚を捕獲するために、違法にもかかわらず最も広く行われている方法の一つが、シアン化物を用いる毒物漁法だ。
この漁法についてダウンズ氏は「これらの魚を捕まえるために、シアン化物を吹きかけるか、シアン化物の白濁の中に進入させて、魚を動けなくする」と説明する。
研究チームの報告によると、米国のペットショップや卸売業者から購入した観賞用海水魚の半数以上に、残留シアン化物の検査で陽性反応が見られたという。検査は、ナンヨウハギを含む観賞魚100匹以上を対象に行われた。