【6月17日 AFP】中国政府に批判的な書籍を販売していたことで知られる香港(Hong Kong)の書店の林栄基(Lam Wing Kee)店長が16日、記者会見し、8か月前に中国当局に拘束されて行方不明となっていた間の状況について語った。拘束後、目隠しをされて身柄を移送され、監房に入れられて尋問を受けていたという。

 同氏は拘束中、身体的な苦痛を受けたことはなかったものの、精神的苦痛を与えられ、弁護士や家族との連絡もできなかったと語った。監禁状態に置かれ、外を歩くこともできず、繰り返し尋問されたという。

 林氏は、中国の有力政治家に関するゴシップ本を扱い、昨年末に失踪した5人の書店関係者のうちの一人。この問題は、中国政府が香港に対する支配力を強めているとの懸念を高め、国際的な非難を引き起こした。

 林氏はこの日、失踪した当事者として初めて公の場で発言。また、今回の問題が中国当局による「香港の人たちの権利の侵害」だとの見解を示したのも、林氏が初めてだった。

 同氏は、禁止書籍の取り引きについて自身が中国の国営テレビで行った告白は、強要されたものだったと説明。「私はカメラの前で演技した。そうする必要があった。監督する人物がいた。私は台本を読まなければならなかった」と語った。「怖かったし、無力だと感じた。彼らに何をされるのかわからなかった」

 14日に保釈され香港に戻った林氏は、16日に再び本土へ向かう予定だったが、書店関係者らが香港の人たちから受けた支援について知った後、予定を取りやめ、自分が受けた扱いについて公表することを決めたという。(c)AFP