【6月16日 AFP】米フロリダ(Florida)州オーランド(Orlando)で起きた銃乱射事件で、現場となった同性愛者向けナイトクラブ「パルス(Pulse)」に警備員として勤務していたアフガニスタン従軍経験のある元米海兵隊員の冷静な行動が、多くの人たちの命を救っていた。

 オマル・マティーン(Omar Mateen)容疑者(29)によって米乱射事件史上最悪となる49人が殺害された12日未明の事件について、イムラン・ユサフ(Imran Yousuf)さん(24)は米テレビ、CBSニュース(CBS News)とのインタビューで、店員が飲み物のラストオーダーを告げて間もなく「3~4発の銃声」を聞いたと語った。

「大口径ライフルだとすぐ分かった。拳銃なんかのはずがない」

 パニックに陥った大勢の客がホール後方の扉に殺到したが、扉には掛け金がかかっていて外には出られなかった。銃声は続いており、ユサフさんは「ドアを開けろ!開けるんだ!」と叫び続けた。しかし、恐怖にすくんでしまった人々は誰も動こうとしなかった。

「このままでは皆殺されてしまう」と思ったユサフさんは、すし詰め状態の客たちを飛び越えて扉にたどり着き、掛け金を外した。この扉から60~70人ほどが逃げ出すことに成功したという。「ドアが開いているのに気付いた人たちが、次から次へと逃げてきた」

 3時間続いた銃撃の間、比較的冷静でいられた理由について、ヒンズー教徒のユサフさんは6年間の海兵隊勤務とアフガニスタン従軍経験のおかげだと語っている。「いざという時に、本当の自分が分かるんだ。あれは僕ができる最善の行動だったと思う。もっと大勢を助けたかったけれどね」(c)AFP