仏警官ら刺殺、犯行をフェイスブックで生中継 「標的リスト」も
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【6月15日 AFP】フランスの首都パリ(Paris)近郊マニャンビル(Magnanville)で警察官とそのパートナーの女性が刺殺された事件で、現場で射殺された容疑者の男が、交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)上で事件の様子を生中継し、サッカー欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)を「墓場」にするよう支持者らに呼び掛けていたことが分かった。また検察当局によると、容疑者は著名人の「標的リスト」を所持していたという。
13日に起きた事件は、ラロッシ・アバラ(Larossi Abballa)容疑者(25)がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に触発され実行したとみられている。同容疑者は過去にイスラム過激派組織に関与していた罪で収監され、釈放後は保護観察下に置かれていた。
容疑者はまず、警察官のジャンバティスト・サルバン(Jean-Baptiste Salvaing)さん(42)を自宅前で刺し殺害。その後、サルバンさんのパートナーのジェシカ・シュネデール(Jessica Schneider)さん(36)と2人の3歳の息子を人質に取り、一家の自宅に立てこもると、その直後にシュネデールさんの喉をかき切って殺害した。
それから容疑者は、立てこもった家の内部で撮影した動画を、フェイスブック上に13分間にわたって生配信した。AFPが確認した動画の中で容疑者は、2人の殺害を認めるとともに、他のイスラム過激派の人々に向け、警察やジャーナリスト、公人、刑務所職員、ラップ歌手、そしてサッカー欧州選手権に対する襲撃を呼び掛けている。
容疑者はその後、突入した警察によって射殺され、男児は無事保護された。
パリ検察のフランソワ・モラン(Francois Molins)検事によると、近くのマントラジョリ(Mantes-la-Jolie)に住んでいたアバラ容疑者は射殺される前、捜査官らに対し、3週間前にISへの忠誠を誓ったと話したという。
また同容疑者は警察の交渉チームに対し、ISのアブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)最高指導者の「地元で不信心者とその家族を殺害せよ」という呼び掛けに応じて犯行に及んだと明かした。
モラン検事によると、現場からは標的リストが見つかり、そこには警察に加え、ジャーナリストやラップ歌手といった著名人の名前が挙げられていた。また3本の刃物も見つかり、うち1本は血まみれだった。
さらにモラン検事は、事件に関連し、アバラ容疑者の周辺人物3人を逮捕したと発表。うち1人は2013年、イスラム過激派を勧誘しパキスタンへ送り込んでいたネットワークに関与したとして、アバラ容疑者ら7人と共に有罪判決を受けていた。(c)AFP/Paul AUBRIAT and Clare BYRNE in Paris