尿から家庭用ガス作る装置、メキシコ技術者が開発
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【6月15日 AFP】人間の尿をバイオガスに変え、シャワーや料理に使う熱源として利用することを可能にする装置を、メキシコ人エンジニアが開発した。
同国北部にあるソノラ州立大学(University of Sonora State)の研究者、ガブリエル・ルナサンドバル(Gabriel Luna-Sandoval)氏(41)は、尿が電解液(電気伝導性のある溶液)であることに着目し、この装置を開発した。
尿から生み出されたバイオガスは、メキシコの家庭で一般的に使用され気候変動の原因にもなっている液化石油ガスの代替品として利用できる。
ルナサンドバル氏が開発した試作品は、幅20センチほどの四角い透明なアクリル製の箱でできている。内部にはステンレス鋼の電極が取り付けられており、中に尿を注ぎ込んで電気を通すと酸素と水素に分離され、後者がバイオガスになる。
容器を家庭の配管に接続すれば、台所や浴室で使われる水をバイオガスで加熱できる。バイオガスは無臭のため、食べ物やシャワーの湯に尿の臭いがつく心配もない。容器は完全に密閉されており、臭気が漏れることはないが、容器を洗浄する際には臭いに耐えなければいけない。
尿意をもよおした際、男性ならば、装置とチューブでつながった特殊な便器に排尿すれば良いが、女性の場合は一度別の容器に排尿した後、尿を装置に注ぎ入れなければならない。
ルナサンドバル氏は、この装置を使えば、宇宙に滞在する飛行士らが緊急時に自分の尿から酸素を生み出すことも可能だと話している。(c)AFP