【6月13日 AFP】陸上男子短距離のウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)は、北京五輪の4×100メートルリレーのチームメートであるネスタ・カーター(Nesta Carter)から禁止薬物の陽性反応が出たことを受け、「胸が張り裂けそうだ」と語り、同種目で手にした金メダルの返還準備をしていると明かした。

 ボルトは12日付のジャマイカ紙グリーナー(Gleaner)に対し、「何年もかけて懸命に金メダルを集め、王者になるための努力をしてきたのに、胸が張り裂けそうだ。断腸の思いだけど、仕方がない」と語った。

「正式に認められれば、返却しなければならない。それは自分にとって問題ではない」

 同紙は3日、北京五輪で採取されたA検体の再検査で、カーターからメチルヘキサンアミン(methylhexaneamine)が検出されたと報道。これにより、ボルトが獲得した6つの金メダルのうち1つが危機にさらされている。B検体の再検査結果は公表されていないものの、カーターがドーピング違反による制裁を受ければ、ボルトはこのリレー種目のメダルを失う可能性がある。

 北京五輪の男子4×100メートルリレーで第1走者を務めた30歳のカーターは、マイケル・フレイター(Michael Frater)、アサファ・パウエル(Asafa Powell)、ボルトと共に37秒10の世界新記録を樹立し、トリニダード・トバゴや日本を抑えて金メダルを獲得した。

 8月のリオデジャネイロ五輪でさらなる栄光を目指すボルトは、カーターに同情を示した。

「つらいに決まっている。どんな試練を経験しているかは分からないが、つらさと失望を味わっているに違いない」

(c)AFP