【6月11日 AFP】サッカー欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)の開催に当たり、労働法改正に対する抗議デモや洪水の影響などが懸念されたフランスだが、10日の開幕戦ではルーマニアを撃破して勝利に沸いた。ただ11日からは地元航空大手エールフランス(Air France)の操縦士がストを決行する構えを見せており、各国から押し寄せているサポーターの移動に支障が出かねないと懸念されている。

 フランスでは政府による労働法改正に反対するデモが数週間前に始まり、10日間続いている鉄道関係者らによるストなどのあおりで国内の交通に混乱が生じている。このほか攻撃の懸念や首都パリ(Paris)など各地を襲った洪水も、今後1か月にわたって開催される欧州選手権に暗い影を落としている。

 フランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領は10日、大会は「順調な」滑り出しだったと称賛した。しかし、ストは大会を楽しむ雰囲気に水を差すばかりか、交通の乱れから多くのガソリンスタンドがガソリン不足に陥る事態なども招いている。パリや南部マルセイユ(Marseille)に到着したサポーターを待ち受けているのは、スト中の労働組合員らがごみ焼却施設に通じる道路を封鎖した結果、収集されないまま路上のあちこちで悪臭を放っているごみの山だ。

 労働法改正に抗議するストを陣頭指揮しているフランス労働総同盟(CGT)のフィリップ・マルティネス(Philippe Martinez)委員長は、「サッカー欧州選手権をだしにした脅し」には決してひるまないと述べている。

 さらに、折しも国外から大勢のサポーターがフランスに入り始めると見込まれる中、エールフランスの操縦士は11日から4日間のストに入る構えだ。同社のフレデリック・ガジェ(Frederic Gagey)最高経営責任者(CEO)は80%以上の便は運航すると約束している。

 開催地の一つであるマルセイユでは9日から10日にかけてイングランドとロシアのサポーター同士が乱闘騒ぎを起こし、警察が厳戒態勢を取った。(c)AFP/Fran BLANDY