【6月9日 AFP】カナダのカルガリー大学(University of Calgary)は8日、サイバー攻撃を受けて利用不能となっていた同大の電子メールシステムを復旧させるため、ハッカーらの金銭の要求に応じたことを明らかにした。この対応については、ハッカーをつけあがらせると批判の声が一部から上がっている。

 同大学では、このサイバー攻撃の影響により、事務職員や教諭、生徒らが電子メールを使えない状態が10日間にわたり続いていた。大学へのサイバー攻撃については現在、警察当局による捜査が行われている。

 大学側は、メールシステム復旧のために必要な「キー」を入手するため、2万カナダドル(約170万円)の支払い要求に応じたと述べた。「個人情報や大学のその他のデータが流出した痕跡はない」という。

 カナダや米国では、学校や病院、警察当局、さらには米航空宇宙局(NASA)などを標的にしたサイバー攻撃が相次いでいる。

 こうしたサイバー攻撃では、コンピューターやネットワークが正体不明の個人やグループによって侵入・暗号化され、正常にデータへのアクセスができない状態となる。通常、復旧するためには金銭の支払い要求に応じて、復元キーなどを入手する必要がある。

 同大幹部のリンダ・ダルガティ(Linda Dalgetty)氏は、報道陣に対し「われわれは、世界屈指の研究を行っており、それらは人々のライフワークとなり得る。これを取り戻すための選択肢を失ってしまう状況だけは避けたかった」と述べ、金銭の支払い要求に応じた決定を擁護した。

 ただ、こうした対応については、さらなるサイバー攻撃につながりかねないとして批判する声も聞かれる。(c)AFP