【6月8日 AFP】デンマークの国立美術館(National Gallery of Denmark)が7日、所蔵品の作品名と解説から、黒人の差別的な表現である「ニグロ(negro)」という単語を外す方針を発表し、歴史を書き換える行為だと批判を呼んでいる。

 デンマーク国立美術館は、ニグロと、アフリカのコイコイ人に対する蔑称「ホッテントット(Hottentot)」という単語は植民地時代の言葉を反映しているとして、14作品から外すことを明らかにした。

 AFPの取材に対し、同美術館で収集、調査を行っている部門の責任者、ピーター・ノルガード・ラーセン(Peter Norgaard Larsen)氏は、当時は使われていたが現在では使われなくなった単語だと語った。この2語に代わって、作品に登場する人物の国籍か、アフリカ系であることを示す表現を使用する予定だという。しかし、画家本人が付けた作品名自体が変わるわけではない。

 移民排斥を唱えるデンマーク国民党の広報担当者は、この措置を「ばかげている」「歴史に反している」と批判している。

「歴史を真摯(しんし)に受け止めるつもりなら、さまざまな理由で現在は使わなくなった単語を、私たちの祖先が使っていたことを明確に示すべきだ」と述べた。

 また、シリア生まれで保守党所属のナセル・ハデル(Naser Khader)議員は「歴史を浄化しようとしている」と美術館を批判した。(c)AFP