米スタンフォード大学の性的暴行事件、軽い量刑に非難続出
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【6月7日 AFP】酩酊状態で意識を失っている相手に性的暴行を加えた罪などで有罪判決を受けた米スタンフォード大学(Stanford University)の元学生の量刑を決める裁判で、息子の犯した罪を「20分間の行為」と擁護した被告の父親や、被告への「深刻な影響」を懸念して禁錮6月と保護観察処分の判決を下した判事に対する非難の声が相次いでいる。
同大の水泳チームに所属していたオハイオ(Ohio)州出身のブロック・ターナー(Brock Turner)被告(20)は、2015年1月に起きた性的暴行事件で訴追され、同大を中退。カリフォルニア(California)州で行われた裁判では、最高14年の禁錮刑が下される可能性もあったが、量刑として言い渡された禁錮6月のうち実際に収監される期間はわずか3か月の見込みだ。
被告の父親のダン・ターナー(Dan Turner)氏が先週の量刑審理で行った証言の内容は6日に公表された。その中でダン氏は、息子は刑務所に入れられるほどのことはしていないと主張。「大らかな性格で温かい笑顔を絶やさない息子は、二度と楽天的な人間には戻れなくなる。夢に描き、実現のために努力してきた人生も送れなくなる。20年余の人生における20分間の行為に支払う代償としては厳し過ぎる」と訴えた。
また、事件を担当したアーロン・パースキー(Aaron Persky)判事は情状酌量を認めた理由として、ターナー被告は「心からの後悔の念」を示しており、社会への危険性もないと説明した。
一方、ソーシャルメディア上では先週末、被害者の女性が裁判所で被告への激しい憤りを示した陳述内容を検察側が公表したことから、刑期は軽過ぎるとする非難の声が相次いだ。
被害女性は陳述で、暴行を受けたことで心に傷を負い、「自分の体が嫌でたまらない」と思うようになったと証言。2015年1月18日の朝にカリフォルニア州サンノゼ(San Jose)の病院で目覚めときは自分の身に何が起きたのか記憶になかったことや、その後に受けた検査がどのようなものだったかを詳しく述べている。
さらに、ターナー被告が裁判所で「酒を飲んだ一夜で人生が破滅することもあり得ることを人々に示したい」と証言したことについて、「人生とは、あなたの人生のことでしょう。私の人生を忘れている」と憤った。
女性はまた、2人が出会った学生パーティーの会場の外で暴行が行われた際、ターナー被告が彼女には意識があり、性行為は合意の上だったと説明したことに対しても、真っ向から否定した。
事件は、米国の大学で起きるレイプの問題を浮き彫りにした。ある調査結果によると、米国の大学では入学して1年目の女子学生の6人に1人以上が、アルコールや薬物によって酩酊状態になって抵抗できない間に性的暴行を受ける被害に遭っている。(c)AFP/Jocelyne ZABLIT