トランスジェンダー活動家の終わりなき闘い、マレーシア
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【6月6日 AFP】マレーシアに住むトランスジェンダー(性別越境者)のニシャ・アユブ(Nisha Ayub)さん(37)は、イスラム教徒が多数を占めるこの国で、あらゆる抑圧に耐えてきた。侮辱され暴力を振るわれ、逮捕され、「真の男にするために」と送られた刑務所では性的暴行を受けた。
トランスジェンダーに対する法的な束縛や差別、排斥を強めているとされる厳格なイスラム法に打ちのめされた彼女は自殺を図った。「まるで私たちには何の権利も尊厳もないかのような扱いを受ける」と、マレーシア人女性が好んで着る長袖のシャツとフレアスカート姿のアユブさんは言う。
彼女は不当な扱いに対する怒りを、活動家としてトランスジェンダーの権利を訴えることに向けた。そして今、自分の身に降り掛かる危険も顧みず、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)など性的少数者の権利を訴える、マレーシアで最も有名な活動家になった。
アユブさんは3月、トランスジェンダーとして初めて、米国務省の「国際勇気ある女性賞(International Women of Courage Award)」を受賞した。この賞は、人権と平等のために闘う女性に贈られる。
アユブさんは2000年、まだ21歳だった時に、「反イスラム的な」行為をしている疑いのあるムスリム(イスラム教徒)を取り締まる宗教警察に逮捕された。
イスラム法(シャリア)に基づく、宗教的な民事問題を扱う裁判で、異性の服装をすることを禁じる法律に違反しているとの判決が下され、3か月の刑務所に入れられた。彼女が送られたのは、男性用の監房だった。
彼女は刑務所内で、そして釈放されてからも自殺を図った。心に傷を負って、一時期セックスワーカーとして働いていたこともある。多くのトランスジェンダーが従事する職業だ。
国際人権団体 ヒューマン ・ ライツ ・ウォッチ(HRW)は2014年の報告書で、マレーシアはトランスジェンダーの待遇において「世界最悪の国の一つ」だと指摘した。
アユブさんを救ったのは、トランスジェンダーの擁護団体だった。