初期乳がん患者、ホルモン療法期間延長で再発リスク低下 米研究
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【6月6日 AFP】初期の乳がん患者が受けるホルモン療法の期間を5年から10年へと2倍に延長することで、再発やもう片方の乳房への腫瘍発症リスクを減らせるとする研究論文が5日、発表された。
初期乳がんでホルモン受容体が陽性のタイプを対象とした同論文は、今週米シカゴ(Chicago)で開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で発表される他、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」にも掲載される。
研究チームによると、閉経後の女性たちがレトロゾールを通常の5年間ではなく10年間服用したところ、乳がんの再発や別の乳房に転移するリスクが、プラセボ(偽薬)を服用した人たちに比べて34%低くなったという。
レトロゾールはアロマターゼ阻害薬の一種で、閉経後の女性のエストロゲンの産生を抑制する。
研究では、カナダや米国に住む閉経後の女性1918人が対象となった。これらの女性たちは、アロマターゼ阻害薬療法3種類のうちのいずれかを、初期治療として、もしくは1970年代に抗エストロゲン剤のタモキシフェンによる治療を受けた後に、5年間継続していた。
これら対象者のうち、無作為に選んだ半数にレトロゾールを、残りの半数にプラセボを服用してもらった。
その後6年余りが経過した後に調べてみると、がんの再発や別の乳房での腫瘍の発症がみられたのは、レトロゾールを服用したグループでわずか7%だったのに対し、プラセボのグループでは10.2%だった。
また、正常だった別の乳房にがんの発症がみられたのは、レトロゾールを服用したグループではわずか1.4%だったのに対し、プラセボのグループでは3.2%だった。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI