【6月4日 AFP】米国主導の科学者や企業家から成るグループによる、ヒトゲノムの合成を目指すという10か年計画が2日、発表された。生命工学の分野に革命を起こす試みだが、生命倫理の問題も引き起こしている。

 米科学誌サイエンス(Science)に掲載されたこの計画については、成功すれば移植用のヒトの臓器の培養や、ワクチン開発の迅速化などが期待されているが、一方で、生物上の親を持たない子どもが生み出されるかもしれないなどといった批判を招いている。

 3週間前、米ハーバード大学(Harvard University)で計画に関する会議が開かれたが、会議は招待された130人の科学者、政策立案者、企業家のみが出席し、非公開だったためその秘密主義にも批判が相次いだ。ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙によると、計画の研究グループは、事前に計画について公表され、学術誌への掲載が台無しにされることを避けたかったという。

 研究グループは計画について、2003年に完了したヒトゲノムの塩基配列の解析プロジェクト、ヒトゲノム計画(Human Genome Project)と同規模になると想定している。

 ヒトゲノムの合成計画は「ヒトゲノム計画よりも野心的かつ、実用的応用に焦点をあてたものになる」と、計画についてまとめられた論文の共著者の1人、ハーバード大学医学部(Harvard Medical School)のジョージ・チャーチ(George Church)教授(遺伝学)は述べた。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI