【6月4日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)前会長のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)氏、元事務局長のジェローム・バルク(Jerome Valcke)氏、元事務局長代理のマルクス・カットナー(Markus Kattner)氏が、不正な報酬や契約により数十億円を受け取っていたことが3日、明らかになった。

 FIFAの内部調査で3人は、報酬の引き上げと失職した場合に備えて共謀し、過去5年だけで7900万スイスフラン(約86億2000万円)を得ていたことが分かった。FIFAのトップだったブラッター氏、ナンバー2だったバルク氏、財務責任者でもあったカットナー氏は昨年、辞任や解任でそれぞれ職を追われており、現在はスイスと米国の当局から捜査を受けている。

 法律事務所クイン・エマニュエル(Quinn Emanuel)のパートナーを務めるビル・バーク(Bill Burck)氏は、「3人のFIFA元幹部が報酬の引き上げやW杯ボーナス、そのほかのインセンティブにより、わずか5年間で計7900万スイスフランを受け取るために共謀していた証拠が示される見通しだ」と語っている。

 FIFAは2013年に報酬委員会を設立したが、「巨額」で「過度」な不正な支払いを阻むことができなかった。現時点での調査報告では、「契約の複数の修正が短いスパンで頻繁に承認されている。それらの契約はブラッター氏、バルク氏、カットナー氏によって同じ日に結ばれている。そしてもっと重要なのは、それらの日が極めていかがわしいということだ」とされている。

 ブラッター氏が再選するか不透明だった会長選挙の直前の2011年4月30日、バルク氏とカットナー氏は2019年まで8年半契約を延長し、給与とボーナスが大幅に引き上げられている。そして両者の契約には、ブラッター氏が再選されなかった場合に備え、「それぞれ最大で1750万スイスフラン(約19億円)、980万スイスフラン(約11億円)の満額が支払われる契約解除の条項」も付けられていた。

 契約が破棄された場合、「たとえ契約破棄が正当なものであったとしても」両者には契約期間に支払われる報酬が満額支払われることになっている。また、FIFAはさらに両者の訴訟費用やそのほかのコストを支払う契約となっているが、これらは「スイスの法律に違反する」とされている。

 スイスの検察当局は3人の契約を調査していると明かしたが、ブラッター氏の弁護士は不正はなかったと反論している。リチャード・カレン(Richard Cullen)弁護士は、「ブラッター氏への補償金は正当なものであり、世界中のメジャースポーツのルールにのっとったものであることをFIFAにお見せするのを楽しみにしている」とコメントしている。(c)AFP