【6月4日 AFP】イラク軍は同国中部の都市ファルージャ(Fallujah)南部に進軍し、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に制圧されたファルージャ奪還作戦は進展をみせていると、複数の指揮官が3日語った。

 イラク内務省の特殊部隊(SWAT)に従軍中のAFPのカメラマンは、イラク軍がファルージャ中心部の南端にあるシュハダ(Shuhada)地区への進軍に成功したと伝えた。

 ファルージャ奪還作戦全体の指揮を執るアブデルワハブ・サアディ(Abdelwahab al-Saadi)中将は「治安部隊はナイミヤ(Naimiya)地区からシュハダ地区に進軍した」とAFPに述べた。別の士官は、「治安部隊とダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)は、激しい戦闘を繰り広げている」と述べた。

 イラクのハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相は先月23日、ISからファルージャを奪還する軍事作戦の開始を発表していた。作戦はまず準備として最後まで残されていたISの補給ルートを切断し、30日にイラクのエリート部隊が3方向からファルージャへの進攻を試みた。

 しかし作戦は、IS戦闘員による激しい抵抗や、同市に取り残されているとみられる約5万人の市民の安全への懸念から時間がかかっており、イラク軍はまだファルージャに深く入り込んではいない。

 ファルージャの南で避難民向けの施設を運営している非政府組織(NGO)、ノルウェー難民委員会(Norwegian Refugee Council)は3日、先月21日以降、市民約1万2000人がファルージャを逃れたと推定されるとしている。

 しかし、避難できた人の中にファルージャ中心部に住んでいた人はいなかった。ファルージャ中心部では食料や安全な飲料水が不足しており、激しい戦闘に巻き込まれる危険性も高いという。

 ファルージャは過去数か月間イラク政府軍に包囲されており、昨年9月からは救助物資も届いていない。(c)AFP