【6月3日 AFP】大学の学生や教員は、キャンパスに銃を持ち込むことを許されるべきか?全米を震撼(しんかん)させるような銃乱射事件が頻発する中、米国では終わりのない議論が続いている。

 米国での銃による死者は1日約90人。つい最近の1日にも、カリフォルニア(California)州のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で発砲事件が起きるなど、近年は高等教育機関でも銃乱射事件がたびたび発生しているが、その防止策をめぐって意見が割れている。

 近年最も衝撃が走ったのは、男子学生が32人を射殺し、その後自らの命も断った、2007年のバージニア工科大学(Virginia Tech)での事件だ。

 また、15年にオレゴン州(Oregon)のアンプクア・コミュニティー・カレッジ(Umpqua Community College)で起きた事件では、男が銃を乱射し、9人が死亡。12年には、カリフォルニア州オークランド(Oakland)のオイコス大学(Oikos University)で、男が7人を射殺した。

 銃規制に反対する強力なロビー団体である全米ライフル協会(NRA)は、もし学生が自衛のための銃携帯を許されていれば、犠牲者はここまで増えなかっただろうと主張している。

 全米州議会議員連盟(NCSL)によると、13年には少なくとも19州が、外から見えない形であれば、学生が銃をキャンパスに持ち込むことを許可する州法案を提出。14年にも、少なくとも14州がこれに続いた。だが、このうち州議会を通過し、施行までこぎつけたのは数州にとどまるという。

 逆に、5州では外部から見えなくても、キャンパスへの武器持ち込みを禁止する法案が提出された。ただ、これらの法案が議会を通過した州はなかった。

 結果として、約20州が武器持ち込みを禁止し、約20州が教育機関の裁量に任せた。コロラド(Colorado)、アイダホ(Idaho)、カンザス(Kansas)を含む残り数州は、特定の条件下での武器携帯を許可した。

 テネシー(Tennessee)、アーカンソー(Arkansas)の両州では、武器携帯が許されるのは教職員のみ。テネシー州で7月1日に施行される新法でも、学術会議や体育館でのイベントなどでは銃所持が禁止されている。

 ミシシッピ(Mississippi)州では、資格を持ったインストラクターによる訓練を受ければ、学生や教員は教室に武器を持ち込める。

 最近で、反銃規制派が最大の勝利をあげたのがテキサス(Texas)州だ。同州では8月1日から、銃を見えない形で携帯するための資格を所持していれば、公立大学への持ち込みが許可される。

 新法施行日は、偶然に選ばれたのではない。8月1日は、テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)で、時計塔に上った男が銃を乱射し、多数の人々を殺した事件の発生から50年目に当たる。(c)AFP/Sébastien BLANC