【5月31日 AFP】欧州連合(EU)の薬物監視機関、欧州薬物・薬物依存監視センター(EMCDDA)は31日に発表した報告書で、若者たちが、新たに登場している、時に極めて有害なドラッグの「人間モルモット」となっている恐れがあると警告した。

 EMCDDAによると、新たに登場しているより強力なドラッグや、製造技術およびオンライン販売の発達により、欧州は薬物問題の深刻化に直面しているという。EMCDDAでは、560種類以上の新精神作用物質(NPS)を確認したとしており、その大半が大麻か、アンフェタミンやコカインといった覚せい剤の合成物だったと発表した。

 EMCDDAでは「若いユーザーは意識しないうちに、こうした物質の人間モルモットとなっている可能性があり、潜在的な健康リスクはほとんど知られていない」と指摘している。ある合成ドラッグの場合、2011年以降に発生している100件以上の死亡例、200件近い深刻な中毒例との関連が指摘された。

 また大麻の合法的な代用品として販売されている一部の合成カンナビノイドは、極めて毒性が高いことが証明されており、2014年以降、欧州だけで13件の死亡例、23件の過剰摂取例と関連していた。さらに報告書では「エクスタシー」の名称で知られているMDMAの使用が再燃しているとも指摘している。

 報告書はオンライン販売によるドラッグの供給も増えている点について触れ、今後かなり拡大する可能性があるとして、政策決定者は対策に取り組む必要があると警告している。(c)AFP/Jonny JACOBSEN