【5月28日 AFP】前人未到の8階級制覇を達成した元プロボクサーで、フィリピンの英雄とたたえられるマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)氏が27日、金メダル獲得が期待されるリオデジャネイロ五輪について、プロの参加が認められても出場しない意向を示した。

 先日、母国フィリピンの上院議員選で当選し、将来は大統領になる夢を抱いているパッキャオ氏は、政治活動に専念したいと話しており、AFPへのメールで「私は投票してくれた人々への責務として、議員の仕事を優先することに決めた」と説明した。

 37歳のパッキャオ氏は、先月ティモシー・ブラッドリー(Timothy Bradley、米国)に勝利した試合が現役最後になるだろうとして、今後は政治家としての道を追求していくと語っていた。

 ところが、パッキャオ氏は完全に現役引退を表明したわけではなく、8月に開催されるリオ五輪か、フロイド・メイウェザー・ジュニア(Floyd Mayweather Jr.)氏とのリベンジマッチに挑む可能性も示唆していた。

 ボクシング界では、数か月前に国際ボクシング協会(AIBA)がプロ選手のリオ五輪参加を提案する大きな動きがあり、来週の総会中に、スイスのローザンヌ(Lausanne)で同案の賛否を問う投票が行われることになっている。

 この提案については批判の声が数多く上がっており、パッキャオ氏のプロモーターを務めてきたボブ・アラム(Bob Arum)氏も、アマチュア選手が熟練のプロボクサーと対戦することは「狂気の沙汰」と糾弾した。

 それでも、提案は可決するとみられており、AIBAはすでにパッキャオ氏にリオ五輪出場を打診している。

 パッキャオ氏はこの日、話題をあおり立てるようなことはせず、6月30日から上院議員として新たな仕事に備えたいと述べるにとどまり、「(五輪への)準備に十分な時間がない」とコメントした。(c)AFP