試合中「半殺し」の過去持つ元NBA選手、詐欺罪で起訴される
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【5月26日 AFP】コート上で相手選手を殴って殺しかけた経歴を持つ米プロバスケットボール協会(NBA)の元選手が、詐欺などの罪で起訴された。25日の連邦大陪審で決定した。
カーミット・ワシントン(Kermit Washington)被告は、慈善団体の名目で寄付金をだまし取る詐欺、脱税など4つの罪で起訴され、有罪になれば最大で禁錮45年、罰金100万ドル(約1億1000万円)が科される。
64歳のワシントン被告は、自身が創設した慈善団体を使って、引退した元スポーツ選手らから不正に寄付金を集めた罪に問われている。
団体は、寄付金を全額アフリカへ送るとうたっていたが、起訴内容によれば、ワシントン被告はその金を着服し、物品や貴金属の購入、家賃支払い、旅費、遊興費などに充てていたという。
ワシントン被告は、1973年からNBAでプレー。ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)やボストン・セルティックス(Boston Celtics)、当時のサンディエゴ・クリッパーズ(San Diego Clippers)、ポートランド・トレイルブレイザーズ(Portland Trail Blazers)を渡り歩き、1987年にはゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)で短い間ながら復帰した。
当時のワシントンの名が知れ渡るきっかけになったのが、1977年の乱闘事件だった。騒ぎは、レイカーズ対ヒューストン・ロケッツ(Houston Rockets)の試合で、当時のレイカーズのスター選手、カリーム・アブドゥル・ジャバー(Kareem Abdul-Jabbar)と、ロケッツのケビン・カナート(Kevin Kunnert)の小競り合いから始まった。
これにワシントンが参戦し、カナートにパンチを見舞うと、これを見たロケッツのルディ・トムジャノビッチ(Rudy Tomjanovich)がその場に駆け寄った(本人は後に、3人を引き離そうと思ったと話している)ものの、ワシントンはこのトムジャノビッチに対しても大振りの右ストレートを一閃(いっせん)。トムジャノビッチは顔の骨を折り、コートには頭蓋から漏れ出た血液と髄液の海が広がった。
トムジャノビッチは顎と鼻を骨折した上に脳振とうを起こし、シーズン全休を余儀なくされた。ワシントンは60日の出場停止を言い渡され、当時最長の26試合を欠場した。(c)AFP