Y染色体の欠失、アルツハイマー病と関連する可能性 研究
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【5月24日 AFP】80歳を超える男性の約5人に1人は血液細胞からY染色体が欠失しており、このことがアルツハイマー病の発症リスク上昇と関連しているとする研究論文が23日、発表された。
Y染色体の欠失(LOY)は、がんのリスクを上昇させることや喫煙者により多くみられることがこれまでの研究で分かっているが、今回の研究では、より幅広い健康問題を予測する生体指標として利用できる可能性を指摘している。
米科学誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス(American Journal of Human Genetics)」に掲載された論文によると、スウェーデンのウプサラ大学(Uppsala University)の研究チームは、英国やフランス、米国、カナダの研究者らと共に、平均年齢73歳の男性3200人以上を対象にLOYの状況を調べた。
その結果、このうちの約17%に血液細胞中のLOYがみられ、すでにアルツハイマー病と診断されている人々では、LOYの値がより高かった。
また、認知症と診断されてはいないがLOYの症状がみられる人々は、その後数年以内にアルツハイマー病を発症するリスクがより高かった。
研究チームは、「Y染色体が欠失しているからといって、がんやアルツハイマー病を100%発症するわけではない」と注意を促しながらも、「血液細胞中のY染色体欠失は将来、疾病リスクの新たな生体指標となる可能性があり、問題の早期発見・治療に効果を発揮するだろう」と述べている。(c)AFP