【5月21日 AFP】フィリピン・セブ(Cebu)市の次期市長が20日、犯罪者を殺害した警察官に報奨金を支払う意向を明らかにした。同国の大統領選で勝利したロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)氏も警察に容疑者の射殺を許可する方針を発表していることから、人権団体などに懸念が広がっている。

 十数年にわたってセブ市長を務めたトーマス・オスメニャ(Tomas Osmena)氏は治安強化を扇情的に訴えて再選した。

 AFPの電話取材に応じたオスメニャ氏は、犯罪者1人につき殺害した警察官に5万ペソ(約12万円)、負傷させた警察官に5000ペソ(約1万2000円)の報奨金を出す考えを示し、次のように語った。

「公務に関連して犯罪者を1人殺したら無条件で(報奨金を払う)。私は警察を助けるためにここにいるんだ。警官を訴追するためじゃない。犯罪者に恐怖を植え付けてやる。罪を犯したければ私を相手に戦争を始めることになる。私は責任を持って、そういうやつらが犠牲になるようにする」

 一方、今月9日の選挙で当選したドゥテルテ氏は、治安当局に犯罪者の射殺命令を出して大統領就任後6か月以内に犯罪を撲滅する方針を示し、取り締まりで10万人の犯罪者が命を落とし、マニラ湾(Manila Bay)の魚は投げ込まれた犯罪者の死体を食べて肥え太るだろう、と述べていた。

 オスメニャ氏の報奨金案についてAFPの取材に応じたドゥテルテ氏の報道官は、ドゥテルテ氏が殺人の報奨金や違法な殺人を奨励したことは一度もないとして、「オスメニャ氏は冗談を言っただけだろう。自分の市政に人気を集めようとして目新しいことを言ったのではないか。人の意見はさまざまだ」と答えた。(c)AFP/Mynardo MACARAIG